小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、君子蘭が咲きました。
40年近く前のことです。
子どもの頃から動物が好きだった少年は、獣医師を目指していました。そのための進路に有利な高校進学を考えての願書を取りに行った帰り、別の高校の野球部の練習風景を目にします。元々野球をやっていた彼の血が騒ぎました。
彼はその高校に入学して、野球部に入ります。甲子園初出場が射程距離にあった高校です。彼は、一年からレギュラーになりました。
彼のことを生まれたときから知っていますが、彼の態度が招いたアクシデントだとは思えません。
放課後の練習中に彼はレギュラーを外れた上級生に顔を狙って硬球を投げられ、球は彼の左眼を直撃。眼窩骨が砕け失明し、嘔吐が止まらず集中治療室に入院しました。
その後0.7まで視力が回復したのは幸いでした。
後々彼は僧門に入ることになりますが、最も影響を受けたのは、僧侶である彼の父親だと聞きました。
彼は、入院中に学校関係者が彼の自宅の寺に謝罪に来たとき、父親は「やられたことは確かに許しがたい。でも、この経験はきっと息子の糧になる」と言って、その上級生の厳罰を望まないと言ったことを退院後に知ります。
「糧」にした従兄弟を敬愛し、昨年11月に亡くなった叔父を尊敬しています。
その寺で今週二日間、スペースがあるのと地の利で、藤岡陽子さんにお越しいただいて取材対応と「僕たちは我慢している」(5月13日発売)400冊にサインしていただきました。
隆祥館書店さんのイベントです。
予約いただけます。
「エンタメ」呼称故に忘れられている、小説の大きな役割について書きました。
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