小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、亡父は柿の新芽を見て天ぷらをするか判断していました。
先週号に、若い仲間から、過分なコメントをもらいました。それを要約すると、
「じいさんになると楽をしたいと考えるのが普通だろうに、奇特な人だ」。
藤岡陽子さんの書下ろし長編小説「僕たちは我慢している」の中で、主要登場人物の高校生が、彼の亡くなったお父さんの幼馴染に「〜さんの生き方、いいなと思ってます」と言うと、その彼は「そんないいもんじゃないよ〜ただ後悔のないように生きてるだけなんだ」と応えます。その男、台湾に渡った医師・真下正則ですが、彼と見事に同じ思いなだけです。
その「ただ後悔のないように」というのは、小説がこのまま更に読まれなくなっていったら、長年文芸に携わってきて、その中で魅せられてきた小説がある身として、その魅力を多くの人に分かってもらう努力をしてきたのかと悔やまれると思うからです。
そのために最も有効な手段として考えたのは、一編集者として本を作り続けることではなく、「小説復興」の看板を掲げる現代小説専門の出版社を立て上げることでした。
その目的のための最強の手段が、幸い結果的に得られましたが、第一弾の「僕たちは我慢している」(5月13日発売)です。
お読みになっていただければ、ふだん小説を読まない人たちも、よりよくしたい、よりよくありたいと願うすべての人たちに、小説の大きな役割を分かっていただけると確信します。
隆祥館書店さんのイベントです。
予約いただけます。
「エンタメ」呼称故に忘れられている、小説の大きな役割について書きました。
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