小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、ダイヤモンド天城も狙えるかも。
「『嫉妬』という字は間違ってるんだよ。正しくは女偏じゃなくて男偏なんだよ」
若い頃に年長者に言われたことがあります。
当時はあまりピンとは来ませんでしたが、断定するその男性はそうなんだろなと思った記憶があります。女性のに比べて、男のは分かりにくいとは思っていたようです。
歴史学者の「この世界は男の嫉妬が動かしている」などという説もあるぐらいですから、あからさまだったらその動きはすぐに見破られて、阻止されてしまいます。
日本人がいちばん好きな小説・漱石の『こころ』で、Kが下宿のお嬢さんへの特別な感情を先生に打ち明けた時、先生は「目指す道を外れる覚悟はあるか?」などと厳しいことを言います。よく言ったものですよね。それ以前に、Kの部屋でお嬢さんとKが談笑していたり、Kとお嬢さんが二人で外出したときに先生と出会ったことがありました。
Kは、理性的な先生が嫉妬しているなどとはまったく思っていなかったのでしょう。
燃え滾る嫉妬心を素知らぬ顔で隠せる男ほど怖いものはないかもしれません。
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