小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、待合わせのお店に藤岡陽子さんがいらして窓外に目を遣ると虹が出ていました。
小社出帆第一弾、その藤岡さんの「僕たちは我慢している」の予告です。
人間の生き方は、大きく二つに分けられるかもしれません。
主要登場人物の一人、高校一年の千原道人は、江戸時代の数学者・関孝和と同じ苗字から生徒たちに「算聖」とあだ名されている数学の教師に尋ねます。
「関先生、勉強する意味ってなんですか~勉強って、別にしなくても生きていけますよね」
それに対して、生徒全員に対して丁寧語で話す関は、
「頑張らず、努力もしないで毎日を楽に生きる。それも一つの生き方だと私も思います。そういう生き方を選ぶ人たちが大勢いることも私は知っています」と応え、
「千原君にとって楽しいことはなんですか」と訊ねます。道人は、
「ゲームしたり、スマホで動画観たり、テレビ観たり、漫画読んだり~友達と……遊んだり」と応えます。関は、
「それは楽しそうですね。たしかに君が挙げた『楽しい』は、努力せずともできることばかりですね。お金もあまりかからなそうだ。でもそこに、〇〇はありますか」と更に尋ねます……。
ページを捲らせる面白さは先週号からお汲み取りいただけたかと思いますが、胸に響き自分自身に問い掛けざるを得ない言葉にも充ち満ちている作品です。
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