「週刊COMPASS」第92号

小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、公園に日が昇るのも随分遅くなりました。

小社出帆第一弾、藤岡陽子さんの書下ろし長編小説「僕たちは我慢している」の予告です。

主要登場人物の一人、高校一年の千原道人は教室の窓から桜の花に魅せられ、年一回の発光するような輝きは十日から十四日間がエネルギーの限界なのだろうと思います。

自分の勇気もそう長くは続かないだろうと、ある人物に会いに行く決意を新たにします。

野球部の先輩に、互いの顔を一生見たくないくらい仲の悪い人に頼みごとをしなければならなくなったら、名城さんならどうしますかと訊ねます。

悔いを残さぬよう、16歳男子は切実な思いを行動に移します。彼の行動は大人にとっても並大抵のことではありません……。

人間だけが持つ「思い」ですが、その人間も二つに分けられるのかもしれません。その「思い」を行動に移す人と移さない人。舞台に立つ人と、舞台を見上げる人。する人、立つ人に困難が生じるのは宇宙の法則かもしれません。

その「困難」を誰もが味わえるのが小説最大の魅力です。

その「小説」をそのまま「人生」と置き換えることができるのは、極めて少数の人たちでしょう。

でも小説でその「困難」の先に何があるかを知れば、舞台に立つ人は増えるかもしれません。

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