小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、「心はエンドレスサマー」などと嘯いてはいても夏至にときめきます。
「今際の際に、Sさんが『あの作品が書けて本当に善かった』と思える作品があるんですよ。その作品はSさんの一番売れた作品とか、大きな賞をとった作品とかそんなこととはまったく関係なしに。その作品が僕の担当だったら尚いいですけど」
と当時最も親交のあった同年輩の作家に、一緒に旅行した新幹線の車内で言ったことがあります。偉そうですが、なぜか確信があってそう言いました。
「えっ。そんな作品、一つもなかったらどうしよう」
Sさんはどこまで本気にしたかは分かりませんが、ちょっと不安気に言いました。
「結果を出さなくては」とは、あらゆる世界で言われることです。「プロセスが大事」ともお聞きになったことがあると思います。
結果は、魂にはかすり傷のような跡すら残さず、魂に深く刻まれるのはプロセスのみなのでしょう。それが、此岸と彼岸、顕在意識と潜在意識の違いかもしれません。
プロセスに悔いが残らず結果も出せたら御の字ですが、此岸の者に出来るのは、ただ悔いを残さなぬよう誠心誠意努めるだけです。
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