「週刊COMPASS」第78号

小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、写真は本文の庭ではありません。

「男の子なら、自分のやりたいようにしろ」

小学5年生のときのことです。欲しかったテントが手に入り、早速泊まりたくて、向かいの幼馴染のやっちゃんと庭に張りました。夕方から曇ってきて天気は下り坂です。天気予報ではっきり雨になるとの認識はなかったのかもしれませんが、降りそうなことは分かっていて、どうしようかなとぐじぐじ言っていました。本心は雨が降ろうが槍が降ろうがテントに泊まりたくてしょうがないのですが、雨が降るのにと周囲に呆れられたくなかったのでしょう。そんな言葉は知りませんでしたが、世間の目を気にしていたのだと思います。

そこで、冒頭の、怒気を含んだ大正十年生まれの父の言葉です。

決行しました。人に迷惑が掛からなければ、自分の気持ちに正直にやりたいことをやってもいいんだと知りました。現在は、やりたいことをやってもいいではなく、やりたいことをやるべきだと思っています。もちろん男の子に限らず。

そのときは結局夜半から本降りになり、グランドシート一体型などではないので、屋内に退去しました。束の間ですが、友だちと胸躍るときを過ごしました。二人の少年の親は、夜中の移動を迷惑なことだとは思わなかったでしょう。川原に張ったテントならいざ知らず。

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