小説復興・文藝復興を真剣に目指しています。
17年前、小説誌の新人賞への応募作、その数点のコピーを自宅に持ち帰っていました。社内の文芸部門の編集者が五段階評価をして持ち寄りますが、私はいつも〇か×かの二択意識で臨んでいました。〇は残念ながらほとんどありません。その評価に責任が持てれば、すべての作品を必ずしも最後まで読む必要はありません。早く見切りを付けて、実際ほとんどがそうなので、遅くなった夕食にしようと思っていました。その中の一作に、読むほどに作品世界に引き込まれ、読後、熱いものが込み上げてくるものがありました。
5点満点を付けたのは、在社中その一作だけです。その原稿は社内選考の最終5作には残りましたが、作家が選考する受賞には至りませんでした。
新人賞発表号が出るとすぐにその方にハガキを出して、会いに行きました。原稿を読む目は作家には負けないという自信がなければ、文藝編集者の仕事は厳しいです。
幸い一年ほどで、その方の書下ろしデビュー作『いつまでも白い羽根』を出すことができました。帯のサブに、
「この時代にこそ必要な文学の大きな役割を堂々と担う、正統派大型新人登場!」と謳いました。
昨日その藤岡陽子さんの『リラの花咲くけものみち』、「第四十五回吉川英治文学新人賞」の贈呈式がありました。
藤岡陽子さんの本当の活躍は、いよいよこれからです。
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