「週刊COMPASS」第57号

小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、明け方の空に今年の干支が。

いついかなるときでも、心の平安を保ちたい。

悲しみ、苦しみ……歓迎されざる負の感情と呼ばれるものです。無縁でいられる人は少ないでしょう。見舞われたときは、逃げたり何とかやり過ごそうとし、やり過ごせたら後は忘れようとするのではないでしょうか。

でもまた何れ囚われます。時間が解決するなどと言われますが、咀嚼出来ていないから消化不良として残り、姿を変えて現れます。

問題が解決されていないからです。何が自分を揺さぶっているのかが分からないからです。それは外から自分に向かってくるものではなく、自分の中から沸き上がってくるものです。自分が後生大事に掴んでいて放さないものかもしれません。自分のことは見難いものです。

主人公の負の感情が描かれない小説は存在しません。

喜び、楽しさ……正の感情ばかりの小説を読みたいと思いますか。読者という安全地帯から負の感情を味わい尽くして、その源泉、何が問題なのかを確と見られるのも小説を読む醍醐味です。

感情移入して我が身のように思える小説の主人公と自分自身とはどこが違うのでしょう。

自分とは何か。

ここに、いついかなるときでも揺さぶられない心の自立へのヒントがあるのかもしれません。

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