小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、日没が随分早くなりました。
先週号の続きです。20年前、身近にいた最も影響を受けた元文藝編集者に、そのときまでに担当した一番と思える作品を読んで、感想を聞かせてほしいと頼みました。
胃癌の手術をして予後が思わしくないために再入院した病室で、癌ではないにしろ病気が進行していく小説を読むのは難儀だったろうと思います。その感想は、
「よく書けているよ。壁を塗るのに隅々まで丁寧に塗るように、書いてある」というものでした。
先週号の冒頭に書きました、藤岡陽子さんのメールの中にあった「地道に普通に生きる人」。
「地道に生きる」の対義は何でしょうか。「派手に生きる」「近道で生きる」は日本語としておかしくはないようですが、実体を伴わないように思います。傍からはそのように見えても、実際にそんな生き方はできないだろうという意味です。
いい加減に生きる、がさつ、粗野、雑……な生き方は十分にあると思います。
「地道に普通に生きる人」を読ませるものにはするには、「壁を丁寧に塗るように」描くしかありません。
藤岡さんの『僕たちは我慢している』に登場する高校生、特に香坂淳平君は自然と人に寄り添うことができます。決して安寧ではなかった幼少期も、彼は人の気持ちを分かろうと、一所懸命、丁寧に生きてきたのでしょう。
人の胸を打つのは、文章と生き方に違いなどないと思います。そして、それが分かるのが、胸を打たれるのは、地道に、丁寧に生きたいと願っている人たちに違いありません。
藤岡さんの、「SAPIX特別教育対談」のお知らせです。
藤岡さんの講演会のお知らせです。
藤岡さんが『僕たちは我慢している』を語ります。
讀賣新聞文化面に取り上げていただきました。
佐藤亮子さんに推薦していただきました。

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