「週刊COMPASS」第195号

小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、高校時代の蔵王行で宿の温泉に皆で入っていたら後から入ってきた年配の、もちろん男性が浴槽に並ぶ長髪に一瞬息を飲んだのが分かりました。

現在98歳の女性から、天下無敵だと思う「信条」を、10年以上前にお聞きしたことがあります。

その信条を、元気付けたい人がいてその人に話したら、その拠り所はなんですかと訊かれました。

拠り所、なるほど、ある自己啓発本の新聞広告に、五つの生き甲斐を持ちましょうとのコピーがありました。生き甲斐、つまり心の拠り所ですね。

仕事、趣味、友人、……あとなんだったか覚えていませんが、お粗末だなと思ったことはよく覚えています。

一つずつ失われていったらどうするのでしょうね。サバイバルゲームか、ホラーです。

件の信条には拠り所などありません。信条そのものが拠り所だからです。

以下次号……嘘です。

「生きている限りは、しっかりしなくてはならない」

シンプルで、シンプルだからこそ最強だと思いませんか。

解説など不要だと思いますが。身体がしっかりじゃなくなることは歳を重ねれば容易に起こり得ることですが、気だけは「しっかりしなくてはならない」と思い続ける、いわば心構えです。

藤岡陽子さんの書下ろし長編小説『僕たちは我慢している』(COMPASS)。終盤近くに登場する医師・真下正則、彼の信条と言ってもいいだろうことが二つ語られます。原稿を読んだときに、その一つが小生とまったく同じで仲間だと熱くなりました。

「週刊COMPASS」は金曜日配信です。

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