「週刊COMPASS」第185号

小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、トンビは天城山を目指しているのでしょうか。

「こんなに甘い環境で生活していたらダメな大人になってしまう~大人のみなさんにお願い~生徒や子供、部下のダメなところをもっと指摘してほしい」

朝日新聞に掲載された16歳男子高校生の「声」です。

彼のお父さんは、ハラスメントを恐れて部下に言いたいことが言えないとこぼしているともあります。

自分勝手な物言いなのか、育ってほしいこともあっての指摘なのか分かるだろう思うのは、それこそ勝手な言い分なのでしょうか。

難しい時代になりました。

「小説による疑似体験は、実体験を超えると言い切ります。」、と本誌179号で宣言しました。

間違っていないかもしれません。

「当たり障りのない」だったり、「腫れ物にさわるような」人間関係の小説など存在しません。あっても、表面的な現象面が敢えてそのように描かれているだけでしょう。

17年前に担当した藤岡陽子さんのデビュー作『いつまでも白い羽根』(光文社)の帯、ヘッドコピーに、「人の心の中に踏み込んでいけるあなたが親友でよかった。」と書きました。

人間を生きる醍醐味は本音をぶつけ合える人間関係であり、小説を読む醍醐味は苦難の疑似体験だと信じています。

藤岡さんの書下ろし長編小説『僕たちは我慢している』(COMPASS)に登場する高校生四人は、生涯の友になるでしょう。その彼らと読者も生涯の友になれるのが、小説の懐の深さです。

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