小説復興・文藝復興を真剣に目指していますが、今朝見かけた満開のサツキです。
小学二年生の少年がいました。
担任の先生のお話しです。
「あしたの日曜日は母の日です。みなさん、お母さんに日ごろの感謝をしましょう」
白いカーネーションの子もいたように思いますが。
日曜日。きのう赤いカーネーションは持って帰りましたが、何をしたらいいのか、先生の言うことを守る少年は決めかねていました。
彼は、休日で、庭仕事をしていた父親に訊くことにしました。同じ立場である三つ上の姉にはなぜ相談しなかったのか、謎です。
「お父さん、『母の日』、どうする」
家族で食事に出掛けることはあったので、そのようなことを期待していたのかもしれません。
一瞬の間があってから、父親は口を開きました。
「お父さんのお母さんは、死んだよ」
少年は、そんな言葉は知りませんでしたが、二の句を告げられませんでした。
結局どのような母の日になったのか、その後のことは彼の記憶にはありません。
その少年が将来どんな大人になっていったのか、ちょっと心配な気もします……。
となり駅の、この辺りでは少しは気の利いたものが置いてあるストアがあって、開店時刻に行ってきました。
95歳の母は礼を言って、「わたし、ロールケーキ好きなのよ」、と言いました。
今週の日曜日、少年の62年後でした。
藤岡陽子さんの書下ろし長編小説『僕たちは我慢している』(COMPASS)に登場する母親たちの、読者からの人気は、息子たちに劣らず高いです。

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